自由に研究できる環境です
K.M 2020年入社 - 高分子化学専攻
Work
仕事内容
3~5年先に使われる新材料を開発
研究開発本部は、社内では「RD」と呼ばれています。そのなかで私の所属する高機能化学品開発部は、主に電池用バインダーを手がけています。これはリチウムイオン電池の負極形成に用いられるポリマー材料です。お客様から次にどんな電池を作ろうとしているかという情報をいただき、「そこにどんなニーズがあるか」「どんな材料が必要になってくるか」という点に留意して開発を行います。機能化学品開発部には、既存材料の改良を手がけるチーム、3~5年先に使われる次世代材料の開発チーム、10年先を見据えた先進的な材料の開発チームという3つのチームがあり、私が担当しているのは2つ目の「次世代材料の開発」です。
かなり自由度の高い仕事環境
既存材料を担当するチームは様々な制約の中で開発することが求められますが、次世代材料の開発をする私たちのチームは比較的、自由に仕事ができます。ややビジネスの本筋から離れるような研究でも、上司は「面白そうならやってみたら」と言ってくれます。もちろん安全第一ですので、新しい試薬や、新しい作業を伴う場合は、きちんとリスクアセスメントを行います。現在のバインダー材料はどんな機能を果たしているのか、設計を変えたらどうなるのかをチームで考えながら新たな重合を試し、評価担当の方に使ってもらいます。その結果が良くても悪くても、また次の設計を考え、試行錯誤を繰り返します。研究者気質の強いメンバーが多いこともあり、仕事に対するモチベーションが高く、私にピッタリの環境だと思っています。
お客様の潜在ニーズを先取りした開発
チーム内では一人が一つの主担当を持ち、その研究を他のメンバーがサポートするというかたちで、常に数種類の材料の開発が進められています。RDの仕事といえば、とにかく今よりも良いものを生み出すというイメージかもしれませんが、どんなに良い材料を開発してもそれをお客様に認めていただけなければ意味がありません。ただ私たちのチームは次世代材料を開発していますので、顧客ニーズが明確に示されていないことも多々あります。実際に業務では世の中の技術レベルや、時には社会情勢から考えて、次にどのような材料が求められるのかを予想しながら開発を進めています。私たちのなかで「良いものができた!」と思ったところでお客様に紹介しますが、これがうまくお客様のニーズにはまった時がRDとして一番喜びを感じる瞬間です。
Change
入社後の変化
スーパーマンのような先輩の存在
私には入社から3年間、とても影響を受けた先輩がいます。とにかく凄い推進力で、やると言ったことは絶対にやり遂げる有言実行の人です。理論よりも、まずやってみる。考えるのはその結果を見てからで良い。そんな仕事の進め方が私の性格とも合致しました。誰もが「そんなはずはない」「それは無理だろう」という突拍子もない発案が半年後、「正しかった」「君の言うとおりだった」と認められる場面を何度も目の当たりにしました。さらに教えてもらったのは研究姿勢だけではありません。新たな重合を行い、資料にまとめ、自らお客様先で提案して推し進める。いかに効率的に仕事を回すかという“要領”も学びました。会社にはちょっと言いにくいことですが、例えば興味のある分野・テーマがあったとき、どういう理由付けをして、どういう手順を踏めばやらせてもらえるか。そんな“コツ”も見習っています。現在は異動して別の部署で仕事をしていますが、「こんな時に先輩だったらどうするか」が、今も私の思考の軸の一つになっています。
チャンピオンだけではいけない
学生時代も高分子化学の研究をしていましたが、その頃と変わったのは品質への意識です。大学ではとにかく、いちばん良い触媒、いちばん良い設計、いちばん良いポリマーなど、とにかく「チャンピオン」を生み出すことが目的でした。一発でも「良いもの」ができれば、それが論文になりますから。しかし会社では最初から品質や実用性を考慮しないといけません。さらに単に「良いものをつくる」だけでもダメ。「どうしてその設計が良いのか」という原理・原則を理解して品質を保証する必要があります。例えば様々なパラメーターを想定し、メインの設計から少し上下にずらした際のデータまで取得する。それを示した上で「だからコレが良い」ことを証明する、という具合です。品質を考えながら開発するのは研究者としては少々大変ですが、社会人としては当たり前。それができるようになったのも自分の成長だと思っています。
Advantage
環境の魅力
化学でお金を稼いでいる会社
化学研究で利益を生んでいる。それがENEOSマテリアルという会社を選んだ理由の一つです。マテリアル=材料というのは、まさに自分が学んできた分野。その知識を活かして開発した新材料が製品化され、お客様に貢献することでお金を稼ぐ。この会社なら技術者でありながら、研究者でもいられる。そう思ったからです。もちろん会社として利益を出すためには、自分の好きな研究ばかりはしていられないと覚悟していました。でも良い意味で、そこは少々裏切られた感じです。検討テーマが多少外れていても、先輩から学んだ“コツ”も活かし、かなり自由にやらせてもらっています。さらに論文を読む時間、学会に出る時間も取れますし、高分子化学、電気化学を中心に、生化学やコンピューターサイエンスなど色々な得意分野を持つメンバーと議論することで知識も広がります。今は改めて「研究って楽しい!」を実感しています。
まずは大学での研究に全力を
リクルーターをしていると「経済知識や語学力も身につけておいた方が良いか」とよく聞かれます。確かにあるに越したことはありませんが、それよりも私は「今やっている研究に全力を尽くしてほしい」と答えています。大学よりも企業の研究のほうが先端的だと思われがちですが、実際はまったく逆。実用性・品質などを考慮した上での材料開発は十数年前~数十年前の技術の応用で、純粋な最先端の研究はむしろ大学で行われています。言い換えれば、学生時代は最先端の研究に常に触れていられるとても貴重な時間だということです。しかもその研究は入社して数年後〜10年後、必ず実用に活かせる場面がやってきます。だからこそ学生の皆さんには、今の研究に没頭して欲しいです。
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